土曜日, 6月 24th, 2017
「経営者はどういう風に保険を利用しているのだろう?」
経営者の方であれば、一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか?

経営者向けの保険を利用することにより、大きく2つのメリットを得ることが可能です。

■万一のことがあった場合にも事業を継続していくための事業保障の対策ができる
■資金繰り対策・節税対策ができる

保険を上手く使いこなすことによって、会社を発展させていくことも可能です。

ここでは、経営者が保険をどういった目的で使用しているのか、そして保険に加入する上で気をつけてなければならないポイントなどを伝えていきます。

保険の目的を知ることによって、会社にとって良い影響を与えることが可能です。

早速みていきましょう。


基本を抑えよう。経営者の保険は節税と保障がメイン

経営者が保険に加入する主な目的としては、事業保障と節税がメインとなります。

事業保障としての役割

経営者の存在は、企業が事業を行なっていく上でとても重要であり、特に中小企業などにとっては欠かせない存在であるといえます。

そのような経営者に万一のことがあると、取引先や金融機関などの信用が低下し、売り上げが減少したり、借り入れが困難になることも少なくありません。

その結果として資金繰りの悪化に繋がり、中小企業では事業の継続に直接関わる重要な問題ともなります。

そのような事態に備えることが、経営者が保険に加入する最も重要な目的であり、経営者としての責任であるといえます。


節税対策としての役割

経営者には、なるべく多くのキャッシュを会社に残すことが求められており、節税対策を行うこともそのひとつです。

法人を契約者として支払保険料を損金とできる保険は加入すれば、利益の圧縮によって節税効果が得られるため、経営者保険は節税対策としての役割も果たします。

また利用する保険によっては資金繰り対策や退職金などの資金準備対策に活用することも可能となります。

経営者の保険は損金額に注意!

経営者が保険に加入する上では必要な保障額を確保するとともに、その保障をどの保険種類で備えるかということが節税対策の面では重要です。

同じように万一に備える保険でも、保険種類によって損金とできる保険料の割合は異なるため、それぞれの企業の状況に応じて適切なものを選択する必要があります。主な経営者保険における損金となる保険料の割合は以下のようになっています。


全額損金タイプ

■定期保険(長期平準平準保険等に該当しないもの)
■逓増定期保険(長期平準平準保険等に該当しないもの)
■収入保障保険
■医療保険(定期保障型・終身保障型(終身払)
■がん保険(定期保障型)


1/2損金タイプ

■長期平準定期保険
■逓増定期保険(長期平準定期保険に該当するもの)
⇒契約年齢、保険期間によって1/3損金・1/4損金の場合もあり。
■養老保険(福利厚生プラン 契約者・満期保険金受取人:法人 被保険者:経営者・従業員全員 死亡保険金受取人:経営者・従業員の遺族)
■がん保険(終身保障型)


全額資産計上タイプ

■終身保険
■養老保険(契約者・満期保険金受取人・死亡保険金受取人:法人 被保険者:経営者)
⇒特に記載のない場合、契約者:法人・被保険者:経営者・死亡保険金受取人:法人

長期平準定期保険とは、保険期間満了時における被保険者の年齢が70歳超かつ契約時における被保険者の年齢に保険期間の2倍を加えたものが105を超える定期保険のことです。

全額損金タイプの保険であれば、支払う保険料のすべてを損金とできるため効率がいいように思えますが、保険料自体が安いことも多く、十分な節税効果が得られない場合もあります。

また全額損金タイプの保険は、基本的には貯蓄性があまりなく、資金繰り対策などにはあまり向きません。ただし保険料が安いということは、大きな保障を割安に確保できるということであり、メリットにもなります。

一部損金タイプの保険は、支払う保険料がすべて損金となるわけではありませんが、保険料が割高な分、より多くの損金を計上できるため節税効果を高めやすくなります。また貯蓄性が高く、資金繰り対策などには有効です。

このように、保険種類により損金となる割合や保険料、貯蓄性の高さなどが異なるため、必要な保障の大きさや支払える保険料、どのくらい利益が出ているのかなどによって加入する保険を選択していきます。


事業保障として退職金に充てるという使い道を

経営者が在職中には、経営者に万一のことがあっても事業を継続していくために、事業保障としての保険が必要となります。

一方で何事もなく経営者が第一線を退く場合には、今までの功績に報いるための退職金を準備しておきたいものです。

ここで経営者保険を活用すれば、事業保障と退職金準備を行いながら、同時に節税対策も行えるというメリットがあります。

具体的な例として、下記を紹介します。


長期平準定期保険に加入する場合

長期平準定期保険 (保険金額:1億円/契約者・保険金受取人:法人/被保険者:経営者(40歳)/年払保険料2,500,000円)

【経営者在職中の支払保険料の経理処理】
支払保険料の1/2が損金となり、節税効果が期待できます。

借方 貸方
支払保険料(損金計上)
1,250,000円
前払保険料(資産計上)
1,250,000円
現金
2,500,000円


【経営者が在職中(50歳・契約後10年0ヶ月経過時)に死亡した場合】
資産計上していた前払保険料を取り崩し、受け取った死亡保険金との差額は「雑収入」として益金となります。

借方 貸方
現金
100,000,000円
雑収入
87,500,000円
前払保険料
12,500,000円


【経営者が65歳(契約後25年0ヶ月経過時)で勇退する場合】
経営者勇退のタイミングで保険を解約した場合、資産計上していた前払保険料を取り崩し、受け取った解約返戻金との差額を「雑収入」(マイナスの場合「雑損失」)として益金(損金)とします。

その後役員退職金規定等に基づいて解約返戻金を経営者の退職金として支給します。

保険を解約した場合の経理処理
借方 貸方
現金
53,700,000円
雑収入
22,450,000円
前払保険料
31,250,000円


役員退職金支給時の経理処理
借方 貸方
役員退職金
53,700,000円
現金
53,700,000円


* 実際には退職金の額は退職金規定に基づいて算出される額で、解約返戻金の額と一致するわけではありません。


法人の保険証はどうなっているのか?

会社が「法人」である場合には、経営者であっても雇用保険・労災保険を除く社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することになるため、保険証は健康保険のものとなります。

一方で会社が「法人」ではなく個人経営である場合には、経営者は自営業者であるため健康保険・厚生年金保険には加入できず、国民健康保険に加入することになります。

まとめ:オーナーにとっても保障は大切

オーナー経営者の場合、会社と経営者は一心一体と言っても過言ではありません。

経営者にもしものことがあった場合には、会社にとって計り知れない影響が生じてしまうこともあります。

そのため経営者として長期的に会社の発展を考えるのであれば、事業を継続していくために必要な保障をしっかりと確保しておく必要があるといえます。

同程度の保障を確保する場合でも、どの保険種類を選択するかによって支払う保険料や損金にできる割合、貯蓄性の高さなどに違いが生じてきます。

効果的に保険を選択し活用することができれば、必要な保障を確保しながら、資金繰り対策や自身の退職金の準備、節税対策も行うことができます。

どのような形で保障を確保するのが、ご自身の会社にとって最適なのかを今一度考えてみてはいかがでしょうか。

続いてのテーマは「30代から考える医療保険~おすすめ商品のご紹介~」という内容で説明したいと思います。